制度の関係で国内FXではできないことがほとんどのアービトラージは、海外FXの方が行いやすくなっています。
裁定取引のことで、他にもサヤ取り・スプレッド取引と呼ばれています。
簡単に言えば、2つの商品の価格の差を利用して利益を出す方法のことです。
アービトラージは海外FXの方が行いやすいと言っても禁止している業者もあり、口座凍結や出金拒否にあうリスクがあります。
安全に海外FXでアービトラージを行うために、アービトラージの種類ややり方について詳しくご説明します。
海外FXでのアービトラージの例
まずはアービトラージがどんなものなのか、例を参考にご説明します。
【銘柄Aと銘柄B:現在の価格の差は100円】
一定の期間どちらも同じような値動きを繰り返していたので価格差は100円のままでしたが、急に銘柄Bだけが価格が高騰しました。
ここでAとBの差が200円に開いたとして、銘柄Aの価格は100円・銘柄Bの価格は300円とします。
この時に銘柄Bを売って銘柄Aを買い、為替の変動で価格の差が50円まで縮まったので今度は銘柄Bを買い戻して銘柄Aを売ります。
今までの取引から銘柄Aと銘柄Bの損益を計算してみると、
- 銘柄A:50-100=-50
- 銘柄B:300-100=200
このように複数の銘柄の為替の変動を見ながら価格の差を利用して売買を行うことによって、利益を求める手法をアービトラージ・裁定取引・サヤ取り・スワップ取引といいます。
例の取引では最終的に200-50=150で、150円の利益をアービトラージで出したということになります。
アービトラージの種類と違法性について
海外FXではアービトラージは禁止されていると思い込んでいる人もいるようですが、禁止事項ではないので行ったからと不正になることもなく違法性はありません。
そんなアービトラージには
- 業者間アービトラージ
- 3通貨アービトラージ
- スワップアービトラージ
の3種類があります。
もうひとつ【ボーナスアービトラージ】もあるのですが、こちらは禁止事項に当たるのでリスクがあるため別でご説明します。
業者間(レイテンシー)アービトラージ
業者間アービトラージはレイテンシーアービトラージと呼ばれることもあります。レイテンシーとはわずかな遅れという意味です。
海外FXのプロトレーダーの方はレイテンシーアービトラージでなんと2億円もの利益をあげているというから驚きです!
簡単に手法を説明すると業者間ではレートの提示に微妙な時間差があり、多少の価格差が発生します。そこを狙うのです。
【海外FX業者AとBの提示レート】
12:00:00 | 12:00:01 | 12:00:02 | 12:00:03 | |
A社 | 100.0 | 100.2 | 100.7 | 100.20 |
B社 | 100.2 | 100.7 | 100.20 | 100.25 |
インターバンクからダイレクトにレートが入ってくる業者は早く、親会社からレートを受け取る業者は微妙に遅れる傾向があります。レート提示はこのように微妙に時間差が出てしまうのです。
今回はB社の方がレートの提示が早いので【12:00:02】で0.13の差が開いた時点でA社で購入をすれば差益が発生することが予想できますよね。
レイテンシーアービトラージなら簡単に利益が出せると言う人もいますが、リスクも理解しておかなければいけません!
- 短時間で決済をするスキャルピング行為が禁止されている海外FX業者もある
- 業者が嫌う手法なのアービトラージが禁止されていなくても口座凍結のリスクがある
- 集中して自分の目で見て取引を行う必要があり自動売買ができない
海外FX歴が長いプロトレーダーの中には自分でプログラムしたレイテンシーアービトラージ用の自動売買プログラムを使っている人もいますが、素人にはかなり難しく至難の業です。
レイテンシーアービトラージでは口座凍結のリスクが最も大きいので、長く利用したいと思っている海外FX業者では試さないことをおすすめします。
スワップアービトラージ
レイテンシーアービトラージは為替の価格差を利用した手法でしたが、スワップアービトラージは名前の通りスワップポイントの差を狙います。
2つの業者を利用して両建てで行う手法になるので、両建てが禁止されているかどうかも調べてから行う必要があります。
- 売りのマイナススワップが安い方で売りポジションを保有
- 買いのスワップポイントが高い方で買いポジションを保有
両建てをしているので値動きの影響はなく、スワップポイントだけが発生する仕組みになっているので利益になるのです。
例えば
- 業者Aで買いポジションのスワップが100円
- 業者Bで買いポジションのスワップが-95円
だったとすると両建てすることで、1日あたり5円のスワップポイントが発生します。
同通貨ペアの買い・売りポジションのスワップポイントの差がプラスになっていれば、業者間でのスワップアービトラージができるのです。
- 両建てが禁止されている海外FX業者もある
- ハイレバレッジでロスカットに注意する必要がある
- スワップの変動の仕方によっては破綻のリスクも!
アービトラージには複数種類がありますが、中でも1番メジャーになっていて行っている人が多いのがこのスワップアービトラージです。
行う時は両建てによる口座凍結を避けるために、規約をしっかり読んでからにしましょう。
3通貨(トライアングル)アービトラージ
3通貨アービトラージは、トライアングルアービトラージ・三角裁定取引・3通貨アービトラージなどと呼ばれています。
3つの通貨ペアの為替相場の価格の差で利益を出そうとする裁定取引の手法です。
例えば日本円を10,000円保有している状態で【円・仮想通貨・ビットコイン】の3通貨でトライアングルアービトラージを行うとします。
- 取引所の中で価格差のある通貨を3種類探し、円・仮想通貨・ビットコインに決める
- 10,000円で仮想通貨(ETH)を買う→10,000円=1ETH
- 仮想通貨でビットコインを買う→1ETH=0.1BTC
- ビットコインで円を買う→0.1BTC=10,100円
トライアングルアービトラージをすることで100円の利益を発生させることができました。
日本円でいきなりビットコインを購入しようとしても、0.1BTCは10,100円なので100円足らず購入することができません。
でも一旦同じ価格の1ETHを購入し、さらにそのETHと同じ価格のビットコインを購入してからもう1回日本円とトレードをすれば利益が出るという流れです。
トレードをする時にいちいち自分で計算して価格差を求めるのは時間も手間もかかりますが、そんな時は自動計算ツールを使えば簡単にトライアングルアービトラージを行う通貨を割り出すことができます。
一般的なアービトラージ計算から3種類の通貨が絡んだトライアングルアービトラージ計算までできます。
他にも自動計算ツールはたくさんありますが、どれが1番というのは決まっていないので使いやすいツールを探してみてください。
最後にトライアングルアービトラージのメリットとデメリットについてです。
- 1ヵ所の取引所を利用してトレードを行うので送金手数料が発生しない
- 送金変動のリスクがほぼない
- 取引の回数が多い分、取引手数料が多くかかってしまう
- 価格差を調べる時は自動計算ツールなどを使う必要がある
- 手順が多いため利益を出すのは素人にはレベルが高い
リスクがなく勝てる手法としてトライアングルアービトラージをおすすめするトレーダーもいますが、現在はそこまで大きな価格差はなく手数料などを考えるとマイナスになる可能性が高いです。
長い時間ずっとパソコンの前で相場の動きを眺めていて、大きな差が出た一瞬を狙えるなら利益を得ることができる可能性はありそうですが難易度は高いですね。
他のアービトラージの手法の方が手順も少なく、利益が見込める可能性が高くなっています。
海外FXではボーナスアービトラージは禁止!
裏技・必勝法など甘い言葉でボーナスアービトラージがおすすめされていることもありますが、海外FXではボーナスアービトラージは禁止されています。
口座開設ボーナスや入金ボーナスなど自己資金以外でFX業者からもらったボーナスを、別の海外FX業者の口座へ移動させる方法のこと
基本的に口座開設ボーナスや入金ボーナスで手に入れたお金は出金することはできません。
ボーナスを使って取引をして出た利益だけが出金できる仕組みになっていて、 現金化することはできないのです。
そんなシステムへの対策としてボーナスアービトラージが生まれました。
- ボーナスがある口座のFX業者と他業者で反対ポジションを保有する
- ボーナス口座が0になり底をつくまで放置する
- すると反対に他業者は利益が出ている
ただボーナス口座が0にならず、他業者が0になるケースもありますがその時はボーナスアービトラージはできませんが利益が出ているので損をすることはありません。
めちゃくちゃ簡単にボーナスが出金できる対策法だ!と思った人が多いと思いますが、FX業者も黙って禁止行為を見ている訳ではないためリスクは高くなっています。
なぜFX業者にボーナスアービトラージがバレるのかというと、IPアドレスで特定できてしまうからです。
バレた人が多いのはMT4プラットフォームを使っているトレーダーですが、実は業者は違っていてもサーバーが同じなので行動が筒抜けだったという訳です。
それでもさらに対策法を考えたトレーダーは【IPアドレスを業者ごとに変える】という取引に変えているようです。
ボーナスアービトラージをする時はA社ではいつものIPアドレス、B社はプリペイドの携帯からなど明らかに偽装行為ですね。
IPアドレスが違えばバレるリスクはほとんどなくなるようですが、禁止行為なのでボーナスアービトラージはやめておきましょう。
海外FXのアービトラージではブリッジに注意が必要!
最後に海外FXで何らかのアービトラージをしようと考えている人のために、ブリッジについてもご説明しておきます。
ブリッジとは「リクイディティブリッジ」とも呼ばれている代行業を行っている会社のことです。
例えば海外FXでブリッジが使われている口座を利用していたとします。
MT4口座で注文をする
ブリッジに情報が送られてからリクイディティプロバイダ(LP)に注文が送られる
つまり異なるFX業者で両建てをしていたとしても使用しているブリッジが同じであれば繋がるサーバーも同じになり、利用者の情報はバレてしまうので口座凍結などのペナルティにつながってしまうのです。
最初に使用しているサーバーのIPが分かればいいのですが、外部からしか確認することはできません。
TCPモニターやコマンドプロンプトが使えるのであれば、IPアドレスを調べることが可能になり分かったIPアドレスからプロバイダの情報を得ることができます。
反対にXMやFXProのようにブリッジを使わず自社が元のブローカーとなっているケースもあります。
このようにしっかりブリッジまでチェックをしておけば、禁止行為による口座凍結などのペナルティの回避策にもなります。
リスクを少しでも減らすためにIPアドレスを調べてみたいと思ったら、TCPモニターソフトなどは無料ツールとしてダウンロードできるサイトがあるのですぐにでも実行できますよ。
アービトラージについてのまとめ
海外FXで行われている主なアービトラージは、大きくわけると
- レイテンシーアービトラージ(為替・スワップポイント)
- トライアングルアービトラージ
の2種類になるということが分かりました。
ボーナスアービトラージもありますが、禁止行為としてはっきり注意喚起されている行為になるためやめておきましょう。
一般的な海外FXと比べてアービトラージをする場合は最初に資金が多めに必要になるケースがほとんどです。
口座凍結などのリスクも考えると簡単におすすめできる手法ではありません。もし行うならリスクがあることをしっかり理解したうえで、取引を始めることをおすすめします。
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